| 政策形成と委員会システム:米立法府における委員会・政党・スタッフの関係
中林 美恵子(米上院予算委員会スタッフ) アメリカの立法府では、委員会が議員立法の知識と技術の宝庫になっている。米議員の政治生命や専門性は、どの委員会に所属するかで決定されるが、それは立法作業の軸がもっぱら委員会にあるからだ。 選挙の結果が出てすぐに議会のリーダーたちがとりかかる仕事は、委員会のサイズや多数党議員と少数党議員の比率をどうするかを決定することである。共和党と民主党の院内総務が話し合い、選挙によって決まった全体の議席比率に応じて委員会の椅子の数を決める。政党にとって、新人議員の委員会配属や引退・落選による委員の入れ替え作業は、選挙と同様に重要な仕事だ。 委員会が年間に必要とする予算は下院1億1500万ドル、上院7810万ドル(2000年会計年度)で、委員会スタッフは下院2300人、上院1000人弱となっている。各委員会はそれぞれの権限範囲内で、行政府を監督する義務があると同時に、新しい政策を練り、提言する権限を持つ。立法に関しては、関係委員会の審議を経ないで本会議にかけられる法案は極端に稀である。 委員会の立法プロセスには、公聴会、マーク・アップ、レポート・アウト、本会議審議、両院協議会が代表的なものである。法案を成立させるまで、一貫して権限を有する各委員会が主導し、あらゆる政治的・テクニカルなサポートを提供する。 委員会スタッフは、国レベルでの政策に専門知識を要求され、委員会に席を置く複数の議員を考慮に入れて働く。委員会のトップ・スタッフともなれば、上院で最高額13万4015ドル、下院では最高13万5200ドルを年報として支給される(上院議員と下院議員の年報は13万6700ドルである)。委員会スタッフの大多数が修士号や博士号の高学歴を有している。 スタッフは、公務の時間を盗んで特定議員の選挙応援をすることはできない。しかし、政策理念として自分がどの党に属するのかは、常に明確である。アメリカでは多くの政策で共和党と民主党が対立しており、公務員である委員会スタッフといえども、支持できない政党の政策に携わることはない。政党枠別に雇われた国家公務員は、自分たちの上司である議員とその政党が提唱する政策実現のために仕事をする。 このシステムの下では、仮に次期選挙で多数党の主導した政策が国民から厳しい審判を受けた場合、スタッフも政策推進者としての責任を背負うことになる。つまり、選挙で多数党の地位が逆転したり委員長が交代すると、自らも職を失う危険があるのだ。国家公務員であっても責任回避をしないスタッフの存在は、立法府における透明性と風通しの良さに貢献している。 これらの論文は1999年度東京財団とPRANJとの共同プロジェクトです. |