障害者政策

「障害者政策について」 (2001年6月13日投稿)

宿屋 恭一

民間シンクタンクが政策を競い合う仕組みを作り,政策決定の過程を透明化するべきだ,というPRANJの主張には,素人の私にも大変説得力があり,今後の展開に期待をしております.

 さて,このメールでは標記の通り,障害者に対する政策について,PRANJにおいて議論の場を設けて頂きたく,お願い申し上げる次第です.また,その提案理由について述べたいと思います.

 私は,自身が身体障害者であり,障害者政策の利害関係者の一人であることから,障害者に対する政策に関心を持っております.日本では,在宅で生活するには行政サービスの支援が十分でないことから,事実上家族の重い負担の下に在宅で生活するか,あるいは病院等の施設に入所するか,という二者択一が必要となる場合が多いように思います.

地域によっては障害者が自立して生活することを可能にする行政サービスが公費で行われておりますが,全国的に広がってはいない,というのが現状です.また,ここでいう「自立」とは,家庭から離れて地域で生活するという意味であり,経済的にも自立することができる障害者は,ごく一部に限られているのが現状です.

 これに対してアメリカでは,PRANJの方々の方がよくご存知かもしれませんが,障害者に対する差別を禁止するADA法(Americans with Disabilities Act)等の法律があり,障害者に対する公共サービスの確保などと並んで,雇用における差別の禁止が規定されています.そして,就労する障害者には,それに必要となる高額の福祉機器が,政府からの補助金,および企業などの雇用主によって提供され,また職業訓練なども行われています.

 そして重要なのは,こうした政策が障害者の提案に政府が有用性を認め,導入することによって行われたものだ,ということです.これは昨年放送されたテレビ番組で述べられていたことですが(NHKスペシャル「ハイテクが支える私の人生〜アメリカ・障害者政策の大転換〜」,2000.12.20放送,http://www.nhk.or.jp/special/libraly/00/l0012/l1210.html ),就労を支援することによる財政支出は,この政策がもたらす福祉手当の支出減,雇用確保による税収の増加,消費のもたらす経済効果などによって将来的に埋め合わせることができる,とする主張を障害者側が展開し,それに社会保障改革を目指す当時の共和党政権が乗ってきた,というのです.

 こうした高度な政策を,どのように作り出したのかが疑問だったのですが,PRANJの主張を読んでいるうち,シンクタンクの研究で導かれたのではないか,と思うようになりました.単なる思い付きでこのような議論ができるとは思えず,何らかの形で専門家が関わっていたことは十分ありそうです.

 やや長くなりましたが,日本の障害者政策をよりよいものにするため,政策立案の専門家であられるPRNJの皆様に,できましたら障害者政策について議論して頂きたいと思い,投稿するに至った次第です. では,よろしくご検討いただけましたら幸いです.なお,投稿に当たって,以下のサイトの情報を参考にしました.

 「障害者に優しいIT機器」,関根千佳,
http://www.asahi.com/tech/column/agora/K2001060101661.html

 「新しい非関税障壁となるか、米リハビリ法508条」,関根千佳,
http://it.nikkei.co.jp/it/njh/njhCh.cfm?id=20010417s244h000_17

 


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