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「日本経済危機」ワークショップに関して (2002年6月18日)
読者からの質問
伊藤 義明氏 (元金融マーケット勤務)
酒井さんの議論は正しい部分(理論的に正しいということと,実体として正しいとい
うことの区別を考える必要があると思う)が多いが中央銀行の立場としてもう少し現実
を見てほしい部分がある。
先ず引当率のことであるが,15%あれば良い(過去は5%程度であったが)という
のは理論的には正しい。しかし本当に資産を健全化しようとするなら,自己査定で1
00%引き当てるのが実体としては正しい考えであろう。
但し現状デフレ経済下で土地を担保にしている限りというか,
値下がり部分を不健全資
産と認定する限り貸出しは不良資産化する。デフレが止まらない限り不良資産が60
兆だ100兆だといって見たところで際限がない。デフレを止める問題は横において
議論すればアメリカの銀行が土地の担保の目減りで不良資産と認定しているかどうか
という問題がある。つまりアメリカのスタンダードで日本の銀行資産を査定すること
もイコールな条件で比較することが有用だと思われるが、レーティングを考えるとき日本の金融庁は査定基準を考えなをす必要がある。
CashFlowがマイナスで資金繰りが続かなくなって初めて不良資産としての認定をする
ことを考えるべきで今の査定基準では中小企業にはオーバーキルの状況になってい
る。代わりに政府機関から無定見な貸出しをして本来つぶさなければならない企業ま
で延命(助けるのではない)させ隠れ不良資産を作っているのではないか?
銀行の審査能力の変革を促進させ,借入人の甘えをはっきり指摘すべき。(銀行の資
本収益率の低さは世界でも例がない。銀行が収益率を上げられないなら数を積極的に
減らすべきである。)もう日本には大銀行は必要無い。つまり預金を集める必要が無
い。預金者が安心して預金をしなくても良いように年金をふくめて社会政策を早く再
構築すべきである。
議論が横道にそれたが、経済的にはデフレを止めるには金利政策に限界があるなら円安誘導しかないがこれは結果的に円安になるので政策的には完全ではないはずである。現在のドル安に見られるようにアメリカの貿易構造を考える限り日本の円安には頭打ちがある。これは日本の構造の裏返しでもある。したがって為替は高値安値の振幅が大きくなるだけで無限に円安にする事は難しい。
したがって
1) 査定方法をアメリカの方法とも少し整合させること。
(すくなくとも研究議論はすべき)
2) 預金を増やさない様にするためには国債を国民に半強制的に買わせること。
(例えば銀行の保有国債を免税国債と振替え,六十歳以上の預金者に免税国債を買わ
せる。歳入の目減りは税金投入の額に比べれば対したことでは無い筈)場合に
よってはその資金を償却基金にしても良い。
3) 国債だけでなく有価証券の保有を促進させるよう税制改正する。銀行に預金が
集まらなければ国債価格は一挙に上がる。そこで初めて海外からの売りが増える。
インフレの気配。個人へのリスク転嫁は途中売却を急がなければそれほどの目減り
にはならないだろう。低金利での運用のほうが(プロが運用したとしても)リスクが大きい。
4) 個人資産1400兆の議論は酒井サンの言うとおりだと思う。それだけに今一
挙に郵貯をつぶし財投の入り口をふさぐ場合出口の処理を誤ればそれこそ膨大な不良
資産の山が国民の目に触れるようになるだろう。
その後は考えるだけでも気が滅入る。少なくとも金持ちだけでなく庶民も資金逃避の
準備だけはすべき(当然規制を緩和すべき)。為替の問題は10年スパンで考える限
りニュウトラルに近いはず。
コールが動かない市場で準備預金だけ積み上げても理論的にはともかくアナウンス効
果としても意味があるのか?五兆円と20兆のちがいは?
それより日銀はもう少し毅然と緊要政策の限界を国民に説明し同時に政治家を教育
して欲しい。
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