日本経済危機ワークショップに関して
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「日本経済危機」ワークショップに関して (2002年6月18日) AEI主任研究員 酒井吉廣氏 日米の比較をすると、最近ではかなり近づいたとはいえ、会計・税制・法制度、あるいは文化や習慣、考え方など、まだ多くの面で違いがあります。このため、日本では、何か新しいルール、またはルールの変更について議論する場合、米国の例を参考にすることが多いですが、実は、基本的な制度の違いが障害になって米国の良い点を日本に上手く導入できないということがあります。また、仕組みは整っても国民に利用されないという例もあります。ですので、米国など海外に先進事例があるならば、これをよく勉強した上で、どのように改良すれば日本に馴染むかを考えて導入する必要があります。 不良債権処理の話も同じです。金融機関の検査マニュアルは米国などのマニュアルを参考にして出来ていますが、米国では不良債権処理が上手く出来て、日本では出来ていないという違いが生じています。日本の不良債権は、問題の質や規模、あるいは徹底した厳罰主義を採れるかなど80年代の米国とは異なる、実は、もっと根深い問題が根底にあり、これを解決しない限り問題は形を変えて存在し続けるのではないかと思います。 引当率について言えば、貸出がT・U分類である限り、これに100%の引当を積めというのは難しい。ですので、世の中には「実質的なV・W分類がT・U分類になっているので、これを実態に合わせた分類とせよ」という議論になっている。後は、どこまで徹底出来るかが重要で、これをきちんと監視し問題があれば指摘していく、あるいは新しいものが必要なら政策提言していく、というのが我々の役割だと考えています。 一方、日本の貯蓄率が高いということの問題ですが、人間は与えられた環境の下で最も自分に有利な状況を作り出そうとする習性を持っている、と言えるなら、これまでは、兎に角、貯蓄することが日本人にとって最適の投資行動だったと考えるべきです。そして、そうなった理由を突き止めて、それを変える必要があります。ただ、残念ながらデータの不足などの理由から、容易に理由を決めつけることは難しいというのが現状です(勿論、感覚論を含めれば、言えそうなことは結構ありますが)。ご指摘の通り、まずは、規制であれ、税制であれ、国民が自由な投資環境の下で自己責任で投資出来る環境を作ってみることが重要で、それでも問題が解消しないなら、別の理由があるということになるので、それを見つけて改善していく、しかも早期に、という対応が必要です。 また、金融政策はどこに限界があるか、財政出動はどれほど有効に機能するか、あるいはどうすれば有効な経済政策として打てるか、をよく考えて行動することも、極めて重要な時期に来ています。例えば、古典的な意味での中央銀行の役割などというのは、もはや通用しない。その意味では、日銀も、政府、官庁、民間も、虚心坦懐によく勉強する必要があるのは事実だと思います。誰が誰に説明するということではなく、今やっていることが本当に日本国にとってプラスか、これを考えて国家百年の計を構築すると同時に、足許の問題を可及的速やかに解決していく方策を確りと考えて行動していく時期だと思います。
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