PRANJワークショップ記録
| 「中国脅威論批判」 (続き) 横浜市立大学教授 矢吹晋氏 2002年4月6日 経済広報センター(ワシントンDC) 座談会参加者: |
|
座談会セッション 加藤:二つお伺いしたいのですが、一つはアメリカの中国研究者の人たちと話をすると中国の金融セクターの不良債権の件を問題に揚げる人がいるのですが何年か前によく日本の新聞にもそのような件が記事になっていたのは記憶しているのですが、それをどうご覧になっておられるのかという事と、もう一つは台湾問題の動向について経済的な統合と国家としての統合と二つ含めて今後どうなっていくと思われるのか教えて下さい。 |
|
|
【中国の不良債権:経済が伸びていれば相対的に不良債権は小さくなっていく】 矢吹:不良債権の話は大体貸出残高の25%というのが良く言われている話で、この前 戴相龍が記者会見で言った話では15%に減っているという話ですけれども、まあその くらいあるだろうと思います。ただそこで何が中国と日本の違いかというと、「経済 が成長しているときには借金はどんどん軽くなっていく」のです。不良債権というの は急に返すものではないのですから。こういう話をするとびっくりするのですが、例 の数年前の円の切り下げ必至という事が言われたときに中国の誰のところにそれだけ の不良債権があるのかという話なのですが、結局は国有企業と国有四大銀行というの がありまして国有企業が返さないから結局銀行の債権が不良債権になっていると、そ れで銀行のところに不良債権があるのですがこの企業、銀行は全部国有セクターなの です。極端に言うとこれは「徳政令」で全部チャラにしてしまえばいいと、それだけ の事なのです。自転車操業というのは悪い意味で使う事が多いのですが良い意味で使 うこともあります。国家が破綻しない限りは構わないのです。伸びている中で少しず つ返していけばいいのですから。日本で不良債権処理で一番もめたのは銀行が民間で 色々な銀行があるから、そのなすりあいで政治からいくら出すかという話と、その銀 行がどのくらい負担するかという点でもめたのです。これは当たり前です。ところが その負担問題は中国にはないのです。私が言いたいのはそれよりも経済が伸びている ときには不良債権は相対的に小さくなっていく、それに新しく増えてはいないので す。国営企業であれ民間企業であれ新しく融資を引き受ける際にはしかるべき担保な りなんなりがないと融資していない訳ですから、国営企業の不良債権というのはこれ まで自転車操業をやってきたところが残っている。そのシェアはどんどん小さくなっ てきて逆にGNPのサイズがどんどん大きくなってきて、対外的な関係でいうと外貨準 備高が一番問題です。要するに今の成長が発展的に続けばそれですむ話なのです。日 本でも橋本内閣あたりで消費税5%のようなネガティブな話で経済改革の復活の芽を潰 すことがなければもっとこんなにひどくならなかったと思うのです。全く減らないと いう事は経済がよくならない限りは不良債権をどういじっても解決しないと思います。 さて、そこで台湾問題なのですが、台湾のGNPと日本を比べますと台湾が日本の20分 の1です。対中直接投資については日本は大体300億ドルです。これは1999年あたりま でで今はもう少し増えて約400億ドル程度ですね。それに対して台湾は公表数字は日 本と大体同じなのですが実質は1000〜1300億ドルというのが常識です。私は去年たま たま3回台湾に行きました。一回は二月に、李登輝さんの国家安全保障局の顧問を やっていた非常に親しい友人が亡くなってその葬式に出席するために行きました。八 月にはまた一週間行きまして色んな人と会いました。その時に李登輝さんとも会いま した。十二月にはたまたま三菱商事から頼まれて三菱商事の取引きのある会社の社長 さん達100人ぐらい集めて中国経済について講演をしました。そんな事があって3週間 色々な人と会ったのですが大体1000〜1300億ドルというのが常識です。企業の数でい いますと、日本が大陸に合弁で作った企業の数は大体2万社です。台湾は5万社と言わ れています。企業の数でも2.5倍。1社当たり大体10人ぐらいは台湾の人が行って働い ている。もちろん大きな工場は大勢いるしあるいは社長さんだけの場合とかピンから きりまでなのですが、1社10人とすれば5万社で50万人が大陸で働いているという事に なります。むしろ50万人はもっとミニマムの数であってビジネスは行ったり来たりし ていますから、それを含めたら瞬間点で捉えて大体100万人ぐらいはいるだろうと思 います。 それで中国なのですが、忙しいビジネスマンを捕まえようと思ったら、もう台北では なく「上海の古北地区」へ行きなさいと言っています。そこでは台湾人の高級マン ションや住居と事務所のコンプレックスがある。そこの高級バーで待ち受けるのが一 番手っとり早いという話です(笑)。どうしてそうなるかというと、一つは台湾は去年 27年ぶりにマイナス成長なのです。失業率も5%を超えました。一つはアメリカのITバ ブルのような外的な影響で、しかしそれだけでなくて一番大きいのはもう一つはむし ろ民進党政権が経済音痴だったという事です。民進党は日本の旧社会党と同じだった のです。きれいごとばかりで全く執政能力がないという事ですから、第四原発の問題 もそうだし他の問題でも、議会でも少数与党だから何もできないという事もあるので すが、野党と妥協してやらなければいけないのだけれども実際に執政の経験がないか ら準備なくして政権の座についてしまったのです。つまり李登輝氏の後継者作りの失 敗のお陰で政権が転がってきたわけです。 国民党の連戦と李登輝が除名した宋楚瑜と合わせたら陳水扁政権より明らかに多かっ たわけですからポイントはそこなのです。ですから李登輝氏は決定的な間違いをやっ ているのです。自分の成果を潰してしまったわけです。ところがどうも日本のマスコ ミはこの点で全部間違えていると思うのですが、李登輝氏は民主化を意図して陳水扁 氏に政権を渡したと言っている。これはとんでもないコジツケですね。失敗を認め ず、後からのこじつけもいい所なのです。こういう馬鹿げた解釈をやっているようで は台湾問題の核心は、絶対分からないと私は思っています。 結局民進党はそういう意味で内側と外側の影響でビジネスマン達はもう相手にしてい られない。とにかく儲けなくてはならないという事を言っている。それでちょうど去 年の八月に経済発展諮問会議が開かれてそこで李登輝流の大陸政策の棚上げを正式に 決めたのです。「積極開放、有効管理」の8文字です。それまでは李登輝の「性急を 戒め忍耐を用いる」という、「戒急用忍」(Don't hurry, be patient.)というのが李 登輝戦略なのですが、一件当たりの投資が5千万ドル以下に限定しし、それ以上のも のは許可しないとか色々な枠をはめていたのですけれども、全部やめたという事です。 ですが実はそのような枠をはめていた時代にしても資本家はちゃんと投資していた。 台湾からの直接では駄目ですからアメリカの法人とかどこかの法人経由とかという形 で行っていたのです。だから去年の8月の正式転換というのは、実際には「既成事実 を追認した」というだけの話なのです。ただ、今までは大陸投資を行う経営者は、 「愛国意識が足りない」とか「大陸の回し者」などと悪口を言われる恐れがあったの ですが、これからは気兼ねなく投資できる。台湾がもし出ないとしたら、北京は結局 どこかから技術を買うだけのこと。そうなるとますます台湾は出番を失うことになり かねないという事を考えたわけです。 その背景として、例えば相手などについて言うと台湾資本が大陸につくる相手の売り 上げの方が台湾本土よりも既に上回っています。台湾の片足以上がもう完全にシフト しているというのが現実の状況です。それを反映するデータですが、台湾の輸出の大 陸依存度は2割を超えないようにしていまして、余りにも大陸の依存度が増えると大 陸の影響を受けやすくなるため、なるべく輸出は多角化して影響を抑えることをして いたわけです。しかし、昨年は一時19.数%まできているわけで2002年は絶対2割超え ています。これは台湾にとって望ましくない指標です。 また、大陸における台湾貿易のシェアですが、これはむしろ減っていてこれも悪い指 標です。依存度は高まってシェアは減っている。という事は台湾経済と大陸経済の相 対的地位が大陸に優位に傾いてしまっている。例えば朱鎔基が経済を担当するまで大 陸は200億ドル足らずの外貨しか持っていなかった。その時に台湾は1千億ドル以上の 外貨を持っていて世界第二位だった。圧倒的に有利だったのです。そういう時に上手 くやればよかったのに、機会を逸した。「香港資本が広東省を抑えた」ように、「福 建省が台湾資本の天下になった可能性」を夢想しているわけです。私は当時からそう いう事を言っていました。あるいは海南島が上手くいかなかった当時、台湾に任せ る。あるいは台湾がひき受ければよかったのです。台湾資本が大量に進出すればあそ こは第二の台湾になります。そうしたら非常に良い事だと私は思っています。李登輝 氏がやったのは全く逆のことです。「投資を抑えて、独立を主張する」という逆を やって裏目にでた。経済の状況がこうなってしまったわけですから、あえて誇張して いいますけれども経済問題に関するかぎり、「もはや台湾問題は存在しない」です ね。事実上の一体化に向けてどんどん動き始めている。 とはいえ統一が進むという事は私は思わないわけです。なぜかというと数年前にミサ イルで脅かしたわけで、これは何たる暴挙かというのが私の当時からの批判です。意 図としては李登輝氏を脅かしたのかも知れないけれども実際に驚いたのは台湾の2千2 百万の人たちで、こういう乱暴な事をやってはいけない。脅しでもやってはいけな い。つまり同胞だから一緒になろうという話で、そもそも台湾に対して武力を使うと いう前提が根本的に間違いなのです。絶対に使ってはいけないのです。そんな事は分 かっているはずなのにそこまでやってしまった江沢民の失敗というのは重大だと私は 見ています。 それは台湾問題を本当に解決するためではなくて国内的統一を維持するために台湾を スケープゴートにして出る杭を打つという形で彼はポストケ小平の政治力を保持しよ うとしたのですが、これは駄目な政治家の手法であるというのが私の主張です。同じ 事は李登輝氏にも言えます。パフォーマンスに頼っているうちに結局大失敗です。自 分の政権与党を潰して自分の政策も変わっているわけで指導者としては大失敗です。 私は70年代初頭にシンガポールに留学していて、リー・クアンユー氏を見ていたので す。そこでずっとリー・クアンユー氏と李登輝氏が並べることのできるような良い リーダーだったと思っていました。それも1996年の総統選挙で選ばれるまでは。今で もリー・クアンユー氏は現役の政治家ですが李登輝氏は完全に力を失ってしまって、 現在では議会に13議席しかありません。陳水扁政権は今までは何とか李登輝氏を利用 してやっていましたが、今では逆で意図的に李登輝離れというのをやっています。意 図的に李登輝の嫌いな人を3人も入閣させていますし。 それはどうしてかというと李登輝氏のスタンスが変わったからでしょう。日本を訪問 した後の去年の選挙で李登輝は徹底的に負けたのです。思惑としては彼の台湾団結連 盟が35議席ぐらい取って民進党と合わせて与党多数派をつくるという目論見だったの ですが実際にはそうならなかった。彼のところが13議席で民進党が87議席で合わせて ちょうど100議席で全体が225議席ですから113議席が過半数です。国民党が減ったけ ど新民党が増える形になって、結局どういう構図かというと台湾で独立を主張する人 はいない。ただ積極的独立派は基本的に少数です。基本的には「日本亡命派」なので す。あるいは「アメリカ市民権獲得派」なのです。そのような「安全地帯に身をおい て過激なことを言う」のです。国民党はダメだと言う事だけで生きてきたような人た ちですから。そういう意味で私は同情します。私の友人は彼らを「台湾独立A派」と 言っています。 それから民進党の主流派は権力を維持する事だけで精一杯です。次の2年後の選挙で 勝てるかどうかが全てなのです。今は少数与党でどうしようもないのですが、次に権 力を取るためには野党、財界とも妥協する、妥協というか財界の声も聞く。それから 大陸とも上手くやらなければいけない。とにかく台湾の経済を良くする事が至上命題 で、民心を勝ち得て投票に結び付けなければいけないというのが民進党です。それか ら国民党の主流派の代表として江丙坤氏を挙げる事ができると思うのですが、彼は東 大で博士号を取って台湾に帰って経済部長等の色々な閣僚をやって影の内閣の一員で した。去年の8月に私が彼に会ったときに、「次の選挙で国民等がもし勝ったらあな たが総統ですね」といったら「そうだ」と否定しないのです。ところが負けたから彼 はなれなかったのですが、選挙の一年後には国民党のシンクタンクで「ここにいるよ うでは台湾の経済はダメだ」と言っていた。「このままのマイナス成長ではダメだ」 という事でした。 |
|
|
国民党は負けましたが、彼は結局国会の副議長になりました。議長は李登輝に近い人で前からの留任なのですが問題は副議長のポストだったのです。野党に議長のポストを任せるからせめて副議長ぐらいは民進党が取りたくて選挙をやったのですが、江丙坤が副議長になって議長、副議長が野党が握っているという状況です。国民党というのは「独立は無理」だし、といって「統一も無理」なのでずっと現状維持というのを言ってきたのですけれども、それが「独立C派」だとすると民進党は「独立B派」となります。 |
![]() |
|
従来李登輝は何となく台湾全体を代表する世論の代表というような感じだったのです が、選挙を通じて彼は台湾団結連盟ということで独立精神を注ぎ込んで行った結果、 結局彼は「台湾A派というか亡命派」みたいな所にぐっとシフトしてしまった。やっ ているのは例の小林よしのりと対談してみたり、日本人でもまともな人は相手にしな いで、マンガ家しか相手にされなくなってしまった。そこまで落ちてしまった。その ように判断を間違えて極端な方向に走ってしまったのです。だから彼のブレ―ンみた いな人達もどんどん離れてしまった。本当に裸の王様で見るも無残という状況です。 ですから民進党は次に勝つために努力してるし、国民党も別の意味で次に勝つために 努力しているというのが政治の状況です。 さて、将来の展望なのですが経済的にはますます関係が深まって、空洞化という事を |
|
| 小池:中国のWTO加盟の件についての質問ですが、おそらく日本への影響としては貿易障壁が下がることによって輸入よりは輸出が増えかつ投資収益が向上し、先生がおっしゃられているような産業構造の転換ということが行われれば、楽観的にはプレゼンスを維持できるのだろうと思います。ただASEAN諸国をみた場合には外資が全部中国に持っていかれてしまうと、それから同じ産業で競っているうちは価格競争力の面でおそらく勝てないだろう、という事でアジア及び東南アジアのパワーバランスの偏りというのがこれから変わってくるのではないかと思うのですが、先生がお考えになられる日本それから東南アジアへの影響についてお聞かせ下さい。 | |
【中国とASEANの競合】 矢吹:あなたの考えているような事は全くその通りだと思います。中国がWTOに加盟 する事によって一番脅威を感じているのはASEANなのです。中国産品が競合するのは 日本ではなくてまさにASEANなのです。日本と中国はレベルが違うのです。だから ASEANの人達は非常に脅威を感じています。 それは二重の意味ですが、一つは市場の競争力の問題とあともう一つは外資が全部中 国に持っていかれてしまうという点でASEANの抱えている恐怖心というか脅威感とい うのは相当なものがあります。ですからASEANの人が脅威というのは私は非常に理解 できるのですが、日本人がそう言うのは全く理解できません。それではASEANはだか らこそ中国と自由貿易協定をやったのですが、あれは何のことはない、要するに余り 心配しないで一緒にやりましょうというものすごい政治的メッセージです。我々はお 互い努力していきますというメッセージのためにそれをやっているというのが私の解 釈で、ただ現実にどうなってくるかというと中国が伸びてくるとASEANは完全にやら れてしまうかというと、そうはならないと思います。やはりモノによってASEANの側 に競争力の強いものもあれば、ぶつかって駄目になる部分、或いはまだ競争力のある もの色々だと思います。ですからその辺がこれからどう展開するかはASEANだって 色々な努力をするでしょうから一方的に中国に負けてしまうという形にはならない。 つまり基本的には競合するものが多いけれども、もともとは早く国際市場に出て様々 な経験を踏まえて学習しているわけですから、そういう知識を上手く活かしていけば 中国の追撃に全部飲み込まれるとは限らないです。その辺はこれから注意して見てい かなければならない一つです。 4月11日からボーアオで会議を行うのでマハティール氏や小泉首相等も行くのです が、そのような場で協調しながらあるいは競合しながらという形でやっていくと思い ます。日本はASEANには親近感を感じてASEANとは一緒にやりましょうという事で、要 するに中国、韓国を外したいのです。中国、韓国は日本のナショナリズムが非常に嫌 いで何かというとアジア、アジアと言いながら、アジアには二つあって日中韓だと考 えている人と、そうじゃなくてそちらは教科書問題でうるさい事を言うからASEANの 方がいいという意見と両方あるのです。小泉首相はどちらかというと明らかにASEAN の方だと思います。 どちらかというとこの中国脅威論というのはこの数年日中韓で一緒にやりましょうと いう人は少なくて、何となくそれとやりたくないからASEANを持ち出す人が多いよう な気もします。ちょっと言い過ぎの感もありますがそういう印象もあります。私は今 度北京で国交正常化30周年のシンポジウムの中で「東アジアの経済協力」という事を 話そうと思っていまして、中心は森嶋通夫さんの東アジア共同体論をまともに議論し てはどうかという問題提起です。森嶋さんは日中韓関係を核にすべきだとはっきり主 張していて、あれだけはっきり言った人はほとんどいないのです。どちらかというと ASEANと組んで中国を封じ込めるというかそこまでいかなくても中国から逃げてASEAN と友好であるという事に心理的な安心感を得たいというのが、どうもアジアを語る日 本人の心理みたいです。そのバリエーションは色々あって、このところ海という事を 盛んに強調した研究がありますが、その辺ははっきり言いませんが深層心理としては おそらくASEANと連合して中国から逃げようという点があるのだと思います。 平林:それは江沢民の時代に問題になった戦争時代の賠償論というか、まず謝罪しろ とかいうような補償の蒸返しみたいな議論があるからなのではないでしょうか。 【謝罪問題は終わった話】 矢吹:私は基本的にはそれはないと思っています。まず謝罪しろというのは錯覚から 起こった問題で私はなぜ外務省はそのようないい加減な議論をやっているのだという 事で非常に怒っています。田中角栄元首相は「ご迷惑をお掛けしましたと言ったのは 誠心誠意謝罪したのである。しかもそこにはこれから同じ過ちを起こさないから許し て欲しいという意味があったのである。もしこの迷惑をかけてすみませんという事が 適当でなければ中国の習慣でもっと良い表現があればそれに改めても構わない、迷惑 という言葉にこだわらない」と田中が言っているのです。それを受けて姫鵬飛がそれ で謝罪の問題は終わりだと言っています。姫鵬飛というのは外務大臣ですからこれが 中国政府の正式な立場です。ですから江沢民があのような事を言い出したのは私に言 わせれば全くの錯覚です。 金大中が来たときに未来志向という事でやった事を中国側は書いて欲しかったのです が日本側は拒否したのです。後から考えてみれば書いておいた方が良かったかも知れ ないのですが、当時の日本政府の判断としては中国の間ではもう基本的には正常化し て、天皇の訪中まで済んでいるではないか、これだけの歴史があって改めて韓国と同 様だというのは変だという事です。もっともそれは表向きの理由でもう一つはどうも 韓国と交渉する事によって江沢民が反発したという、この辺は疑心暗鬼のやり取りの 中で出た話でそこから謝罪が済んでいないという話が出たのですけれども、それはや はりおかしいと思います。国交正常化のシンポジウムの際に私はこの前北京でこの前 話をしました。全くおかしい話のぶり返しで、30年間何をやってきたのだと思うので す。ですから平林さんのように考えている人は少なくないのです。でもそんな問題は なくて既に終わった話です。では本当に謝罪して欲しいのかと中国に言ってみても、 いやそれは済んでいるのでそうされても困ると言うと思います。賠償の話も政府と民 間は別だという話もありますが、基本的には政府は全体を代表して取り決めたのです からそれを抑えるスタンスでないと一貫しない。アメリカのように企業の責任とかの 話があるようですが、まだ今の所中国政府はそれをやらせるという事ではなく、ただ 関係がぎくしゃくしている時にそれをちらつかせるような事はあるかも知れませんが 少なくとも正式には絶対言っていないはずです。 平林:私が思っているのはこの前の江沢民の訪米の際に彼は一週間ぐらいアメリカを 周りましたけれども、その時にLAだとかで「日本は謝罪が済んでいない」という事を 話しアメリカの内で日本に対する謝罪を煽っているという事実はこちらにいる日本人 としては非常に許せない行為だと思うのです。 矢吹:私もそれは思いますが、ただそれは江沢民の個人プレーであって中国政府の正 式な見解ではないはずです。だから胡錦涛の執行部になってそれがどう出るかという 事を注意して見ておく必要がある。私はそれは変わると思います。江沢民は非常に台 湾海峡の危機から間違った判断をした。それはやはりしかるべき根拠があるかなと 思ってやっているのでその後はフォローアップしなければいけないのです。やりすぎ だと言う事は分かっているので一方では軌道修正を考えながら、他方では別の方向に いっているという事で非常に混乱しているのです。その辺は江沢民だけが悪いのでは ないですが、李登輝の挑発と江沢民の威嚇がありクリントンは軍艦を出す。日本はそ れに乗じてガイドラインを改正するという、これは全部ボタンの掛け違いの連鎖反応 なのです。私はだからそのような政治家は許せない。みなそれを利用して、日本の安 全保障をやっている人間は何をやっているのだと思います。つまり事あれば騒ぎを起 こして予算を増やそうとしていて、それは彼らの仕事かも知れませんが、本当の意味 での安全保障とは非常に遠い。北朝鮮の問題は別ですが中国について言うと同じこと をやろうとしていているので、上手く時間をかけて平和的に解決しましょうと言えば いいのにガイドラインとか訳の分からない、台湾を含む含まないという本当に馬鹿ら しい事ばかりやっているのです。ですから私は本当にこの1990年代の後半というのは 意図的に作られたポスト冷戦後の秩序変更期において田舎政治家達がつまらないパ フォーマンスばかりやってこじらせただけの事だと思っています。 |
|
| 最初に戻る 文責 小池氏就 氏 (ありがとうございました) |
|
| Copyright(C)1999-2002 Policy Research & Analysis Network 許可無く転載することを禁じます。 | |